親子で得度されました ~動物たちへの祈りの心~

皆さま、こんにちは。心和寺の住職でございます。

先日、当道場にて、あたたかく心に残る得度式がございました。
得度を受けられたのは、ペット火葬を営まれている親子お二人――お父さまと息子さんです。

日頃より、たくさんの動物たちと、そのご家族に寄り添いながらお仕事をされているお二人。
「せめて般若心経だけでも、しっかりと唱えてあげられるようになりたい」と、
強い思いを胸に当道場の門をたたいてくださいました。

この「般若心経だけでも唱えてあげたい」というお言葉には、
深い慈悲と誠実な想いが込められていました。
動物は言葉を持ちませんが、その命は人となんら変わることなく、
愛され、悲しまれ、そして敬われるべきものです。

そんな小さな命に、きちんと祈りを届けたい
――その真っすぐな心に、私は胸を打たれました。

火葬という役割の中で、どれほど多くの「最後の別れ」を見送ってこられたことでしょう。
そして、そのたびに「何かできることがあれば」と心を痛め、
やがてこの得度という決意に至ったお二人の歩みに、私は深い敬意を抱いております。

式当日、お二人は静かな緊張の面持ちで本堂にお入りになりましたが、
親子ならではの自然な呼吸と温かさが感じられ、
こちらまで穏やかな気持ちになったのを覚えています。

式が進むにつれ、お父さまは少し照れくさそうに、
息子さんは静かに真剣な眼差しで祈りを捧げておられました。
その姿に、「ああ、本当に良い親子だなぁ」と、
ほほえましく、同時に心から尊敬の念が湧いてきました。

得度というのは、形式ではなく「仏の道を歩もう」という誓いそのものです。
どんな立場であっても、その思いが純粋であれば、仏さまは必ずその背中を押してくださいます。

私自身、小さなトイプードルと暮らしております。
小さなと表現しましたが、実は9キロもあるビックちゃんです(笑)
話を戻しますと、だからこそ、ペット火葬に携わる方々のご苦労と、
命の重さに向き合う日々の中での葛藤、
そして祈りの大切さが、痛いほど胸に沁みます。

言葉にならない別れのとき、
そっと寄り添ってくださる火葬業者の方々の存在は、
ご家族にとって、どれほど心強いものか
――そう思うと、感謝の気持ちでいっぱいになります。
今回得度されたお二人も、そのような存在であり続けることでしょう。

これから先、お二人が動物たちとそのご家族の心に、
さらに寄り添っていかれるはずです。
そして、般若心経のひと声ひと声が、
旅立つ命にとっても、
残されたご家族にとっても、
深い安らぎとなることを願ってやみません。

仏道という一点でつながったご縁に、心からの感謝を込めて。
これからのお二人の歩みに、仏さまの慈悲が常にありますように。

合掌

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