得度式でした

昨日、得度式でした

昨日、新たな一歩を踏み出された方がいらっしゃいました。
中部地方にお住まいの男性が、聖徳派にて得度式を受けられ、正式に仏門に入られました。

得度──それは、世俗を離れ、仏の道に生きる決意をあらわす大切な儀式です。
けれども、それは決して「俗世を捨てる」ことではありません。

むしろ、この世の苦しみを誰よりも知る人が、その苦しみのなかに光を見出そうとする行いだと、私は思っています。

この方は、10代の頃に深く心を痛める経験をされ、真言宗のお寺のご住職に相談されたそうです。
そのとき、ご住職からこう言われたのだと聞きました。

「あなたは仏道へ進みなさい」

その言葉が、ずっと心に残っていたのだそうです。

その後も、ご自身の病や、心の波に悩まされる日々が続いたそうですが、
それでも、仏の教えだけは、心のどこかで灯り続けていたと話してくださいました。

「同じように、苦しみのなかにある人の力になりたい」
「心の痛みに気づける僧侶になりたい」
そんな願いを胸に、私たち聖徳派の道場の扉を叩いてくださいました。

そして昨日、その祈りのような決意が形となり、得度式という大きな節目を迎えられました。

式中、凛とした姿で袈裟を受け取り、頭を剃り、合掌されたそのお姿は、
まるで静かな湖のように、深く、美しいものでした。

どれほどの葛藤や不安を乗り越えて、ここに立っておられるのか。
その背景に思いを馳せると、胸が熱くなります。

仏道は、あなたの弱さを拒みません

強くなくていいのです。完璧でなくていいのです。

仏道は、弱さを抱えたまま歩ける道です。
心に傷を抱えている方も、いま迷いの中にいる方も──どうか安心してください。

この道は、あなたに閉ざされていません。

むしろ、その痛みや孤独を知るあなたこそが、
誰かにとっての光になれるかもしれないのです。

聖徳派の道場は、どんなお気持ちの方にも、
静かに、あたたかく、扉を開けています。

焦らず、ゆっくり、
ご自身のペースで、仏の道を見つめてみませんか。

私たちは、あなたと共に歩んでいきたいと願っています。

合掌
聖徳派 加行道場 住職