戦争について思う
いつの時代も、どこかで争いは絶えません。
テレビをつければ、海外での紛争や戦火の報道が映し出され、
「なぜ人間はここまで争わなければならないのだろう」と心が痛みます。
戦争の主導者には、たいてい「正義」という言い分があります。
それは、彼らの価値観や国家観に基づいたものであり、
「戦わなければ自国が危ない」「自由を守らなければならない」といった、戦う理由があるのです。
しかし、対峙する相手側にもまた「正義」があります。
「家族や故郷を守りたい」「抑圧に屈してはならない」――。
どちらも、自分たちの大切なものを守ろうとしているという点では同じです。
⚖ 仏教が説く『中道』という教え
仏教には「中道(ちゅうどう)」という教えがあります。
これは「極端に偏らず、バランスを保った道」を歩むことを意味します。
釈尊は、厳しすぎる苦行も、欲望に流される快楽も、ともに真理から外れているとされ、
そのどちらにも傾かずに生きる道を「中道」と説かれました。
現代の争いにおいても、
「どちらが正しくてどちらが間違いか」という二元論ではなく、
「双方の立場や事情に理解を持つ」姿勢が求められているのではないでしょうか。
🌿 対話と共感が平和への一歩
私たち一人ひとりが、
「どちらの正義もある」という前提に立つことができたなら、
そこから対話が生まれ、争いを避ける知恵が芽生えるかもしれません。
中道とは、争わないということだけではなく、
自分にも他人にも偏らず、調和を求める姿勢です。
🕊 仏教の智慧を次の時代へ
仏教は、偏らない「中道」の智慧を通じて、
人々の苦しみを和らげ、平和への道を照らそうとしてきました。
だからこそ私は、この教えを未来へ伝えるために、
真に人々の心に寄り添える僧侶の育成に、今時間を費やしています。
争いのない世界をつくるために――
一人ひとりが中道の智慧に目覚め、
やさしさと理解を持って他者と向き合えるように、
その願いをこめて、今日も静かに祈ります。
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【真言宗 聖徳派道場 心和寺】
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